第22回 臨床遺伝学会 

 

インターネット上のホームページによる遺伝相談の試み

Experience of genetic counseling on a private Internet homepage

東海市民病院 小児科

水野誠司

 

 個人的なホームページ(HP)の一部に遺伝相談のページを設け匿名性を保ち遺伝相談のEメールを8ヶ月間受け付けた。積極的な宣伝は行っていない。

【結果】25件の相談内容は先天奇形7件、色覚、視覚障害4件、聴覚障害2件、精神障害2件、近親婚2件、代謝異常1件、その他5件。疾患の発端者は本人5件、子供5件、婚約者とその親族6件、同胞5件。HP発見の契機は、検索エンジンによる積極的検索が14件、偶然発見し質問5件、不明6件。男8、女14、不明3名。。回答は基本的事項の説明にとどめ、同時に相談施設の情報を提供した。

【考案】私的HPに8ヶ月間に25件の相談があり、遺伝相談の潜在的需要は少なくない。相談者は問題意識を持ち積極的にHPを検索して質問した人と、偶然HPを発見し身近な事柄を質問した人に大別された。前者は専門施設に通院中で、問題が専門的で複雑な場合が多い。メール回答では不十分だが相談施設の情報提供の点で意義がある。後者は、親類の疾患など逼迫した問題はないが知識を得たい相談者が多い。インターネット利用者は男性が多いが、相談者の過半数は女性であった。

 インターネットによる遺伝相談は、知識の不足から生じる悩みに対する情報提供の手段としては有用だが、専門的知識を要する相談や人間関係の問題には不適でである。匿名性、手軽さ、定型的回答の使用など、遺伝相談のメディアとして可能性を持つと思われる。

 

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