小児科医の書斎



小児科の伝言板
       

2007/12/12
 例えばしつけでも勉強でも、、親が怖い顔して命令したら4歳でできるようになった子と、6歳過ぎてから他のを子の様子を見て自らできるようになった子と、この子が10歳になったときににしっかり身についているのはのはどちらの子でしょうか。
 老人に席を譲らないと罰を与えるとして、小学校の低学年の子に老人に席を譲らせた場合と、老人に席を譲ったら感謝されて嬉しかった経験をした小学校高学年の子と、将来大人になったときに自然に老人に席を譲れるようになるのはどちらでしょうか。
 何歳でできるようになったかが大切なのではなくて、自らできるようになった喜びを経験させてあげたほうが、しっかりと身につくのです。これは一般の子育てでも障害児の教育でも同じです。
2007年8月10日
診察の時に、子どもが泣くから背中から聴診器を当てるという医師がいる。どうでしょうか。背中に冷たい聴診器を当てられたほうが、前から聴診器を当てられるよりも恐怖が減るでしょうか。子どもの目を見て、子どもに今から聴診器を当ててもしもししてもいい?と話しかけながら、前から聴診器を当てた方が子どもは怖くないのでは無いでしょうか。 
2006年8月10日
保育園、幼稚園選びは人任せにしないで、ぜひご自身の目で確かめてください。公開日じゃなくて普通の日に、こどもたちがどんな様子で過ごしているか、活発な子、おとなしい子はどのように過ごしているかを確かめてください。
2006年8月10日
私は医師になってから本当に薬を飲まなくなりました。小児科医の子どもも、おそらく平均的な子どもに比べて飲む薬の量は数分の1ではないでしょうか。薬を中途半端に飲めということじゃなくて、本当に必要な場合は多くないと思います。
2006年6月10日
 あるお母さんの話。上の子は幼稚園の時にスイミングスクールに週3回2年間通わせて、結局クロールで15メートル泳げるようになっただけ。下の子は小学校の4年生で月に一度水泳の個人指導を受けたら半年で100メートル泳げるようになって水泳が好きになった。みんながやっているから始めるんじゃなくて、その子その子に旬がある。伸びる時期があるという話。
2006年4月10日
 診察室に子どもが入るとすぐに、遠くを指さしてもーもーと言う。何のことかなと指先の方を探すと、遠くの窓に1cmくらいの牛のキャラクターのシールが貼ってあった。大人はほとんど気づかないくらいの小さなシールだった。医療機器や無造作に置いてある部屋にあっても、子どもの目に飛び込んでくるものは、子どもが知っているものだけ。 外国の大都会でも日本語の広告がすぐに目に入ってくるのとおなじ。こどもの理解できるキャラが視野にあると子どもは安心する。今日は子どもの視点が感じられて嬉しかった。
2006年4月10日
今年度の母子手帳から、「離乳期に果汁を与える」という記載が削除されました。
2006年2月9日
 子どもの描く絵は、どうしてあんなに心を引きつけるのだろう。一旦大人になってしまったら、どう努力しても子どもの描く絵ようなは描けない。同じような感動を与えてくれるのが、障害者アート。人間の奥底にある内面の流露をそこに見る。リンク集のページにArtbilityのリンクを載せました。
2006年1月9日
某ラジオ番組で聞いたことば、、「 赤子には肌を離すな、幼児には手を離すな、 子どもには目を離すな、 少年には心を離すな 」
子育ての真髄ですね。ネットで引いたら出てくる出てくるこのフレーズ。有名な言葉だったようです。 
2005年9月29日
風邪、下痢、嘔吐、、などの普通の子どもの病気は、、子どもが親の愛情を全身で感じるまたとない機会です。親子の絆を深めるようにと、天から与えられた小さな試練の機会なのだそうです。この機会を十分に生かしてください。社会がこの機会の大切さを理解したら、子どもの病気で仕事を休む両親への理解が進むでしょう。
2005年4月9日
2−3歳のこどもが一人で積み木やおもちゃで遊んでいるのを見るのが好きです。頭の中は好奇心と空想で満ちあふれていて、「何を考えているんだろう」こどもの思いを想像していると楽しくなります。十分な愛情をもらっている子どもは、好奇心に満ちた一人遊びが好きです。こどもが一人で遊ぶ時間を大切にしたいです。
2004年12月9日
どの子にも、その子の「旬」がある。水泳が好きになる時期、数字に興味が出る時期、、伸びる時期はそれぞれ。今はなにが「旬」でしょう。旬を感じて子ども と一緒にいると楽しいです。「旬」は待つもので、作るものではありません。
2004年10月9日
一年中行事行事でこどもたちを追い立てているだけの幼稚園では、地面のありさんとお話して空想を膨らませているこどもの豊かな心はあまり 理解さ れていない。
2004年10月9日
七夕会、敬老会、クリスマス会、卒園の会、、、、一年中行事行事でこどもたちを追い立てているだけの幼稚園が少なくない。そんな幼稚園が 結構有名幼稚園だったりする。
2004年7月9日
おばあちゃんが抱っこすると泣くんですよ、と6〜10ヶ月の子のお母さんからしばしば聞きます。おばあちゃんは、久しぶりに会うときにすぐに手を伸ばして抱っこしてしまいます。この頃の赤ちゃんは、人の顔を穴のあくほどじっと見て、1分くらいするとニコッとします。この「お見合い」をしてニコッと してから抱っこすれば、孫に泣かれることはありません。
2004年6月19日
妊婦さんが集まる母親学級の場で「障害児が生まれる可能性」について話すかどうか、のアンケートで。 大部分の人に関係がないから話さない、という多くの産婦人科医の回答と 誰もが当事者になりうる問題だから、できるだけ話すという多くの保健師の回答。これからお母さんになる人はどちらがいいと思いますか。
2004年5月19日
小児科医と内科医の見分け方の一つ。小児科医はこどものことを「お子様」とは言わない。
2004年4月19日
こどもは泣くのが仕事、、、なんて言われていますが、、本当は泣きたくないのです。
泣くのが仕事だから泣いていても放っておく、、のではなくて、、、なぜ泣いているのか考えてあげてください。泣いているのを見たらどうして泣いているのかを理解してその感情を共有してあげてください。
2004年3月19日
考えることの好きな子は、小学校の低学年の間は周りからはあまり賢いと思われないそうです。なぜだろう。
2004年1月7日
「子どもはいつから自分で考え始めると思いますか?」という母親への質問の答えが国によって大きく異なるという調査結果の新聞記事。 アメリカのお母さんによると、生後数ヶ月から子どもは考え始めているそうです。中国のお母さん方は2、3歳と答えるそうです。日本はもっと遅くて3〜4歳に なってはじめて子どもは考え始めるという答えが多いそうです。だからでしょうか、アメリカではお母さんが赤ちゃんに向かって"Do you think ....?と話しかけることが多いそうです。こんど赤ちゃんが近くにいたら、じっと目を見て「あなたはどう思う?」って尋ねてみてください。きっともうい ろいろなことを考えていると思います。
2003年10月18日
保育園から高校までのこどもたちと関わっていて、、ひとりひとりの子どもの心が一番解るのは保育園の先生だと思う。「教える」よりも「相手を理解する」ことに努力するのが保育園。保育園と中学校の先生の交流や交換も悪くない。
2003年9月18日
 仕事で某小学校に行った日は、たまたま授業参観日であった。ほとんどの父母が自分の子どもだけに視線を投げかけている。そんな中で同じ学年の複数の教室をのぞいてみると興味深い。先生の言葉がこどもの心に届いているクラスでは先生の一言一言に子どもの目つきや反応が変わる。別のクラスではこどもたちは先生に叱られないようにおとなしくしているだけ。手を挙げるのはいつも同じ生徒ばかりで、ほどんどの子どもには先生の話が届いていない。先生の言葉と生徒の心の波長がどのくらい合っているかという視点で複数のクラスを参観すると面白い。
2003年8月28日
 よい幼稚園児、よい小学生を目指す必要はない。よい大人は必ずしもかつてよい子どもではなかった。 よい子どもが必ずしもよい大人になる わけで はない。最終的に成熟した大人になって豊かな人生が送れればよいのです。だからその過程にあるこどもは「良い子」じゃなくてもいいんです。1年で結果を出さなくたって。ある幼稚園の講演会で。
2003年7月28日
 ある中学校に行ったら、先生方がみんなスーツにネクタイだった。どうしてかと尋ねたら、生徒に詰め襟の学生服を強制する以上、教師が ジャージやポロシャツでいいはずないでしょう、との返事。言われれば当たり前のことがとても新鮮に感じた。
2003年7月28日
私が小児科医になりたての頃、内気で他の子の遊びにとけ込めない子の親に、集団に慣れさせるように早く保育園に入れることを勧めた。今は、そのよ うな恥ずかしがりやの子は無理に早く集団生活に入れなくても良いと考えるようになった。ずっとお母さんにくっついていても良いじゃないか、いずれ子どもは成長するのだから無理することはない。
2003年7月28日
某こども病院は有名な建築家の設計なのにとても狭い。こどもの患者が受診したり入院したりするのに、両親兄弟、時に祖父母まで一緒に付き 添うことや、入院に親が付き添わなくてはならないことなど思い及ばなかったそうな。
2003年7月14日
長崎の小学生による殺人事件が新聞の一面に大きく報道された日の社会欄の片隅に、家庭内暴力の娘を絞殺したのち自らの命を絶った夫婦の小さな記事。同じくらいの比重の出来事なのに。
2003年6月14日
三重県で小学校の先生と幼稚園の先生の交流が始まったとの報道。互いに入れ替わって授業をするという。大賛成、中学校の先生にもやって欲 しい。言葉のない幼児と多く接すると子どもの心が少しずつ理解できるようになる。
2003年5月16日
生後10ヶ月の子は、もう子どもの声と大人の声を区別して聞いています。子どもが近くに寄ってくると大人とは違うかん高い声で反応してい ます。そして全身を動かして喜んでいます。
2003年5月11日
こどもが入院するとき、ほとんどの病院で親の付き添いが求められる。それでいて「付き添い許可願い」を提出させられる不合理さ。専業主婦が少数派になってきた昨今、こんなこといつまで続くのだろう。誰かが声をあげなければ。
2003年4月1日
小児科の外来で生後6ヶ月の子を診察するとき、その子が第1子か、2人目以降の子かはすぐにわかります。後頭部を見るのです。二人目は目 が覚めても寝 かされたままにしておかれることが多いので、首の動きで後頭部が擦れて毛が無くなります。一人目の子は目が覚めるとすぐに抱っこされるので後頭部が 擦れることはありません。だからといって、二人目の子が心理的な発達で問題を起こすことが一人目の子より多い、、などということは全くありません、 ご心配なく。
2003年2月1日
インフルエンザ脳炎について強調されすぎた報道のために、この冬はどこの病院の時間外受付にもインフルエンザの検査を求めて発熱の子を連 れた親が急増したそうです。小児救急の問題は常に親の不安の問題でもあります
2003年2月1日
地元のかかりつけ小児科医はどうやって決めたらいいかという相談をしばしば受けます。一つの方法として、予防接種を受けに行ってそこでい ろいろ質問したり、スタッフの対応をみきわめたりするのも良いのではないかと思います。突然の救急受診ではそこまで見る余裕はありません。
2002年12月23日
 こどもに謝ったことありますか?自分が勘違いして子どもを叱ってしまったとき、こどもに迷惑をかけたときにちゃんと謝りますか。大人が 自分の非を認めて真摯に謝る姿を見て、こどもは謝罪することが自己否定ではないことを知るのだそうです。そして内省的な自己を築くのだそうです。日本がア ジア諸国になぜ過去を認めないかという議論の中で出てきた話題です。
2002年9月25日
 こどもは家族がいる場所が一番勉強に集中できるそうです。小学校の入学祝いに勉強机をあたえられて机に向かうことを強要されたらみんな 勉強嫌いになります。だから小学校の間はキッチンで勉強すれば良い、どうしても自分の机が欲しくなったときに買えばよいそうです。同感。入院中 の小中学生も、ベッドの上ではなくて騒がしい看護婦詰所に来て宿題をしています。
2002年8月25日
小児科の外来でこどもに尋ねてはいけない質問は 「幼稚園は好き?」 「学校はは楽しい?」 「お友だちはたくさんいる?」。 学校が楽しくない、学校生活に問題を抱える子を見つけるのが小児科医の仕事。そういう子は、「夫を愛していますか?」と突然聞かれた奥さんと同じように、返事に窮して黙ってしまいます。
2002年7月25日
園芸も子育ても同じだよ、、、必要な時にほんのちょっと手をかけるだけだから、、と園芸好きの某小児科医の言。必要でないときに手をかけすぎる と枯れてしまうし、必要なときに水を与えないと枯れてしまう。
2002年6月25日
ワールドカップの韓国チームの監督が、、I am proud of these guys、、と選手を褒め称えていました。〜を誇りに思う、、という、人やこどもを誉める時にも使われる私の好きな表現です。日本語にこれに相当するほめ言葉が あるでしょうか。子どもに向けるほめ言葉というと、えらいねぇ、おりこうさん、とかありますが、小中学生には使えません。この年齢のこどもが大人から対等 に認められる良い誉め言葉ってなにがあるでしょう。
2002年6月3日
赤ちゃんが半年を過ぎて人見知りをするようになる少し前のころ、、人の顔をじぃーっとのぞきこむように見る時期があります。この時期を何 頭かの猿と一緒に過ごすと、、こどもは何十頭の猿の顔を区別できるようになるそうです(本当にそんな実験やったのだろうか?)。この時期を過ぎてしまうと、もうこどもは猿の顔を見分けることはできなくな るそうです。この時期の好奇心いっぱいの赤ちゃんの顔が好きです。
 この頃、子どもがじっとこちらの顔を見つめたら、視線をそらさずにずっとずっとやさしく目と目を合わせてみてください。30秒〜1分くらい経つと、必ずニコッと笑顔を見せてくれます。子どもが反応する前に抱っこしたり手を出してしまうとそんな変化がわかりません。 (2001年12月15日の記事のSilenceです。)
2002年5月25日
自分がこどもの頃、母親はしばしば自分に民間療法の漢方薬を飲ませていた。ある時、腎臓病を疑われて、、いろいろな医者にかかった。ほと んど の医者はそんな民間療法はやらない方がいいと言うなかで、一人だけ、漢方薬と現代医療の相互効果もあるかもしれないですね、、と頭から否定することはしな かった。母はその医者を名医だと決めつけた、、、、。民間療法は効くはずもなかったが、、この医師の対応は記憶に残っている。
2002年4月15日
外来で子どもの親からの聞く話では、、、、きっかけは何であれ、転校して良かった、得るものが多かったという意見が圧倒的に多いです。転 校して成長した、という話をたくさん聞きます。5歳児でも転園すると、それまでの少し情けない部分を捨てて、新たな自分を作れるようです。学校でうまくい かなかったら、成長を止めて順応するより転校してみるのも一つの方法だと感じます。
2002年4月15日
外来の診察室でぐずる3歳の子を落ち着けるのに、ぬいぐるみのお人形であやすのと床にトランプのカードをばらまくのと、どちらが効果があ ると思いますか。
2002年3月15日
母子手帳から「断乳」という言葉が削除されます。母乳が不要になる時期は子どもによって異なるので、一律に1歳で断乳をすすめる指導は適 当でないからです。いずれは止められるわけですし、無理に断乳して、母乳をほしがって泣く子を無視して過ごすと、母親に子どもの心を無視する習慣が付いて しまうと言う副作用もあります。
2002年2月25日
「思いやり」という私の好きな日本語があります。相手の気持ちになって考える、、という、適切な英語訳のできない日本の素敵なことばで す。夫婦や恋人間ではしばしば使われる言葉ですが、子どもに対してはあまり使われないような気がしませんか。表現力の不十分なこどもにこそ、思いやりを。
2002年1月15日
少し前に「老人力」という造語が話題になりましたが、「こども力」ってあると思いませんか。
2001年12月15日
障害児関係の本だったか、一般向けの本に書いてあったのか忘れましたが、子育ての基本を、英語の頭文字をとって、SOUL(魂)というの だそうです。Silence、Observation、Understanding、Listen。Silenceというのは、先に大人が口を出さな い、、ということだそうです。口を出さず、よく観察し、どうしてそうするのか理解して、こどもが何を求めているかに耳を傾けること。手や口を出す のはそれからです。
2001年11月5日
患者さんのことで、小学校の先生から相談の電話があった。保育士、保健婦、児童相談所、学校の先生など、こどもに関わる職業にはいろいろある中で、一番関わりの少ないのが学校の先生。向こうからみても、医師が一番話しにくい相手かもしれない。でも子どもの問題についていっしょ に取り組んだ時にお互いに得られるものはきっと大きいでしょう。そんなわけで学校の先生から患者さんのことで相談されると無条件にうれしい。
2001年9月1日
 小児科医は、患児付き添う母親を呼ぶ時に「お母さん」と呼ぶことが多い。ある虐待防止市民団体のニューズレターに書かれていたことです が、子育ての悩みを相談に来た女性に向かって、「お母さんは、、」と呼ぶその言葉が、さらにその人を追いつめることがあるそうです。知らず知らず「お母さん」の型に押し込んでいる小児科医の盲点を突かれたようで、気が引き締まりました。
2001年7月15日
先日のNHKニュースで、昨年一年間で麻疹にかかった子が推定20万人だそうです。うち100人弱が死亡しています。アメリカ合衆国で一年間に麻疹にかかる子が約100人だそうです。アメリカで麻疹に罹る子の半数は海外から来た子で、その半数は日本からだそうです。日本の予防接種の種類や 回数や方法が国際スタンダードと異なる部分が多いので、渡航される人、海外から日本に来られる人は困惑しています。
2001年7月1日
 3つの小学校に通った子の話によると、学校によって給食の味に大きな差があるそうです。A市の学校では、家では普段食べられないような工夫されたメニューばかりで、みんなが給食を心待ちにしているそうです。B市の学校では、年中数少ないメニューの繰り返しで、焼きそばとパンとか、煮 物 とご飯と漬け物とか、30年前と変わらないメニューです。それでいて残すとしかられるから給食の時間が苦痛だと言っていました。C市では月に2回は 必ず新しいメ ニューを組み入れるなど、マンネリにならない工夫と評価を常に行っていて、美味しい給食が楽しみだったそうです。
 B市の病院の外来で、不登校で受診した転校生の女の子が、給食が苦痛だと言っていたのを思い出しました。でもB市では給食センター民営化反対運動が起こっています。さて子どもの視点は。
2001年6月1日
 妊娠中のつわりの時期と、胎児の器官形成期、つまり重要な臓器が作られる時期は同じなのです。つわりは、この時期は無理をしてはいけな いという胎 児からの警告なのです。
2001年5月1日
 障害児の多い病院の外来では、大声を出してこどもをしかるお母さんの声は聞こえません。じっとしていない子が多いにもかかわらず。怒 鳴ってしかることが解決に結びつかないことを皆知っているからでしょう。障害のない子どもでも同じはずなのに。
2001年4月17日
 フィンランド人のお母さんに外来で、『この病気は自然に治る病気でしょうか?』と質問された。そうなんです、ふつうの小児科外来にくる こどもたちの病気のほとんどは何もしなくても自然に治るものです。その場合は本来は薬は要らないのです。自然に治る病気とそうでない病気をはっきりさせる のが小児科医の役目です。でも多くの日本人のお母さんたちは、薬を飲んで治すものだと思っています。もっと啓蒙が必要ですね。
2001年3月17日
 名古屋市の市議会で、車椅子で登壇した議員にむかって某議員が「(車椅子用の)スロープを造るのに1500万円!」とヤジを飛ばしたと 新聞で報道されていました。この人が議員に選ばれたのは不思議なことです。
2001年2月27日
 障害児という言葉-- 障害って「差し障りがある」「害がある」という語感があって、受け入れにくい言葉と感じることがあります。同様 に「異常」という病名が自分の子どもについたら、抵抗があるでしょう。染色体の疾患を持った子の親の会で、「染色体起因しょうがいじの親の会」という会が あります。なぜこの名称になったかを最近理解できるようになりました。言葉はこころの食べ物だそうです。
2001年1月7日
『小児科というのは子どもを中心に考える所なんですよね、、』と言ったら、隣にいた人同僚の内科医が、『そんな風に、こどもを甘やかす からいけないんだ』と返してくる。『子どもの視点で考える所、、、』と言えば良かったと反省しながら、考えてこんでしまいました。「相手の立場で 考えること」と「甘やかすこと」が同義語として捉えられたら、、もう子どもの立場はないですね。
2000年12月17日
 この20〜30年の社会の変化は凄まじくて、自分が育った頃のこどもの環境と今のこどもの環境、こどもの感性は違うのです。昔の感覚で 今のこどもを論じることはできないのです。でも昔のことしか知らない大人達がいろいろなことを決めてしまう。今のこどもの感性を理解できる大人達がもっと 発言しないと、こどもたちに住み良い社会にはならないでしょう。最近身の回りに起こったことで、そんなことを感じました。 
2000年11月17日
 小児科医を長年やっていると、手の掛かる患者さんやご両親にむしろ興味が湧いてくる。若い頃は、しつこく質問する母親が苦手だったが、 今はそんな不安の大きい母親こそ十分に納得していただきたいと熱が入る。
 保育園の民営化の話題をしばしば耳にします。民営化すると保育士さんの年齢が間違いなく低くなって人件費が減るそうです。手の掛かる子や個性の強い子、 いろいろ質問したい親、教育に関心の強い個性的な両親に、若い保母さんは上手に対応してくれるでしょうか。
2000年11月8日
 ある母子手帳をみたら、赤ちゃんの退院時のコメント欄に、「母乳でがんばってください」「子育てがんぱってください」と書いてある。採血で子どもの腕に針を刺すときには「さあ、がんばって!」と看護婦さん。臨床実習の看護学生さんが挨拶で「がんばりますのでよろしくおねがいしまぁ す!」。、、、「がんばる」 って何でしょう、がまんすることでしょうか。結婚式の祝辞で「がんばれ」とはあまり聞きませんが。
2000年10月23日
 水痘やおたふく風邪の予防接種は『任意接種』ということになっています。任意なので無理にすすめることはしませんが、ほとんどの小児科 医は自分の子どもには打っています。合併症で入院する子を少なからず診ているからかもしれません。
2000年9月23日
 どうして幼稚園は集団演技や集団体操が好きなのでしょう。小児科の外来には運動会の前になると元気がなくなって受診する子がいます。 『社会性』を身につけるためです、、、との返事があってちょっと驚きました。社会性ねぇ、。
2000年7月20日
★『風邪は基本的には何もしなくても治る』『熱は救急疾患ではない
 こどもが熱を出した時に、慌てて救日診療所を探して受診して薬をもらって、翌日また病院で薬をもらって熱が下がる、、、、これを初めに経験してしまうと 薬で治ったように錯覚して、それ以後、熱が出るとすぐに医療機関を受診しないと不安になります。
 熱が出ても、比較的元気で食欲もまあまあなら何もせずに1、2日様子をみると自然に治ってしまう、、、、こういう経験をすると子どもが熱を出してもあわ てずに様子をみることができます。前者になるか後者になるかで、それから先の子どものQuality of Lifeと後々の医療費がかなり違ってきます。多くの人に後者の経験をさせてあげたいと思います。
2000年6月30日
 国内の一部で麻疹が流行しているようです。麻疹の初期症状は普通の風邪の症状と区別がつかず診断が難しい上に、発症する前から他人に感 染しはじめるので一旦地域で流行りはじめると拡大を防ぐのが困難で、しばらくの期間患者さんが発生し続けます。その国の予防接種のシステムによって麻疹の 発生はかなり差があるそうです。ちなみにアメリカでは麻疹の発生は年間100例以下だそうです。
2000年6月16日
 最近は10代の母親が多いように感じます。そのほとんどは計画的な出産ではなくて、未婚率が高いです。子育て中も同じ世代の母親の友達 が少なくて孤立しがちです。10代の母親をサポートする集まりやサークルが有ってもよいと思います。誰かがつくらないと、、、。そんなサークルをご存じで したらご一報下さい。
2000年6月12日
 ラジオの深夜番組であるゲストの発言。『僕は小さい頃自閉症だったんですよね、でも学校に行ってから努力して治しました』 悪意のない 無知も罪深いものです。
2000年5月25日
 母子手帳から日光浴の記載が削除されたことはご存じでしょうか。紫外線の強い日本で日光浴は有害無益だという最近の認識です。こどもの 日焼けコンテストも廃止されました。
2000年4月1日
 映画『禁じられた遊び』で、主人公の男の子が墓地の十字架を繰り返し繰り返し壊して遊ぶ場面があります。目の前で両親を機銃掃射で殺さ れた時のPTSDによる、特徴的な繰り返し遊びなのだそうです。 (先日その子役の俳優さんが亡くなりました10.27)
2000年3月16日
 今日は平日なのに小学生の患者さんが多いなと感じたら、今日は卒業式の練習日なのだそうだ。寒い体育館に整列して叱られるだけだから 行ってもしょうがない日、と小学生の患者さんがが教えてくれた。
2000年2月26日
日本の昔話を思い出してみてください。日本の昔話の絵本に出てくる老人はみな、腰が曲がって弱々しく寂しそうで貧乏です。西洋の絵本では 老人は太っていて結構金持ちで堂々としています。
2000年2月13日
快活で大声を出してこどもたちの先頭に立って走っている元気な保母さんが、保母さんの典型かと昔は思っていた。でも物静かでこどもをじっ くり観察している保母さんの方が実際は多いです。こどもたちと深いところで関わって、1人1人の持ち味を引き出しています。
2000年2月11日
「精神科外来で出会う大人になった被虐待児たち」という講演を聴いてきました。母親の精神病理からみた児童虐待の話は、子ども側から見て いる小児科医にとってとても興味深いものでした。虐待をする母親のほとんどは、自身が幼少時に心理的外傷「PTSD」を受けているそうです。さて私たちは 気づ かない間に子どもに心理的外傷を与えていないでしょうか。虐待、心的外傷をキーワードに身近な世界を見直してみるといろいろなことが見えて くるようです。
2000年1月11日
 予防接種の問診表に、意思確認のために保護者のサインを記入する欄がありますが、母子で来院されているのに父親の名前を記入する母親が 2割くらいいます。その場で訂正してもらっています。小学校では母親が記入する場合も、母子家庭でなければ保護者名欄には父親の名前を記入するように求め られるそうです。
99年12月24日
 3歳の子どもでも診察室でおなかを触るときには、「おなかをさわってもいいですか?」と聞くのです。そうすると、「うんっ」と言って、 嫌 がらずに泣かずに診察させてくれます。いきなり触ると怖くて泣けてきます。
 子どもから見ると、何の説明もなく突然されることが日常の中で多いかもしれません。
99年12月4日
『サンタクロースは子どもたちの一年間の行いを記録したノートの中から良い子を選び出して、クリスマスイブの夜にはプレゼントを持って きてくれる』。この後半の部分だけが日本に伝わったそうです。某書店のパンフレットから。
99年12月1日
 3,4歳の子どもが待合室で騒いでいるのを見て、「親のしつけが、、、」と舌打ちしながら子どもを叱るのは、子どもと接することの少な いスタッフ。こどものストレスを読みとって、こどもにあったおもちゃを選んで与えて静かに遊ばせるようにするのが小児科の看護婦さん。
99年11月1日
 中学生くらいになると、乳幼児が多い小児科外来に受診するのに抵抗を感じるでしょう。でもやはり小児科がよいと思います。一 つには、成長過程にある中学生では同じ症状でも成人とは考える疾患が全く異なるからです。同じ「嘔吐」という症状でも、新生児期、一歳前後、幼稚園、小 中学生でそれぞれ考える疾患が全く異なります。胃癌とか潰瘍というのは小児科で極めて稀なので、大人のようにはじめから内視鏡や造影検査をすること はありません。もう一つは、学校生活や家庭環境の理解や指導はやはり小児科医の専門です。アメリカでは18歳位まで小児科で、小児科の教科書には避妊指導 まで書かれています。小児科ではなく成育科という提案もあります。
99年10月1日
 赤ちゃんはなぜ歩けるようになるのか−−− 歩けるようになるまで、ほめられて喜ばれて期待されて見守られるからだ。某雑誌のコラムに 書かれていました。歩きはじめが遅いから、歩くのが下手だからといって1歳の子をしかる親はいませんね。ずっと1才児を見る目でこどもの成長を見守りたい ものです。
99年9月1日
 出産予定日が7月のはずが早期産のために3月に1000gで生まれたとるすと、小学校の入学は予定日に生まれた場合より1年早くなって しまいます。ただでさえ未熟児の子は成長に時間がかかるのに、入学が1年繰り上がってしまうのはハンディを倍加するようなもので す。最近は入学を一年遅らせてもらえる事例があるようです。杓子定規の法律運用から個人に応じた運用に少しずつ役所の対応も変わっているようです。
99年7月20日
 公園を散歩していたら、女の人が遠くから走ってきて『こんにちは』とにっこり。。病院で数回診察したことのある子のお母さんで日本語も まだ十分でないフィリピンの方でした。その屈託のない明るさに初めは戸惑ってしまいました。日本のほとんどの方は、病院の外で私服の私に気づいてもわざわ ざ走ってきてまで声をかけたりはされないでしょう。逆の立場でも私もそうしないでしょう。国民性というのでしょうか、あの明るさは日本ではとてもまぶしい です。
99年6月30日
 最近のNHKの子ども番組は演奏家、歌手とも一流の人が関わっています。小さいときから本物に触れることが重要と考えているようで、 ファミレスのお子さまランチのような、質を落とした『子ども用』は要らないのです。こどもは意外に本物を見分ける力を持っていて、音楽でも書物でも子ども は本物を選びます。さて私たちは本物と思ってもらえるでしょうか。
 
99年5月11日
 義父と母による小児虐待で5歳の子が死亡したとの新聞記事。その子がどのような気持ちで毎日を過ごしていたのだろうと考えると胸が詰ま ります。周りの人も気づいていたのでしょう。誰かが通告したのでしょうか。関係機関は動いていたのでしょうか。
  児童福祉法第25条:『...保護 者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所または児童相談所に通告せねばならない。』(後日記:現在は児童虐待の予 防に関する法律が成立しています)
 日本でもすべての国民にこども虐待を発見した場合の通告義務を課しています。子どものためにちょっとした勇気ある行動が必要です。インターネット上にも 小児虐待に関するページがあります。一度のぞいてみてください。
99年4月18日
 育児には世代間伝達があります。こどもの頃親から不愉快な体験を受けた人は、自分が大人になったときに、自分が受けたのと同じことを、 自覚しないで、自分のこどもにしてしまう確率が高いといわれています。もちろん逆も真です。

99年3月9日
 胎毒という言葉があります。医学書には書かれていないのですが、生後一ヶ月くらいの赤ちゃんの頭や顔に出てくる脂漏性湿疹を、昔は体の 中の毒素が体表に出てくるもので治療の必要はないと考えていたそうです。いまでもおばあちゃんにそう言われたことを信じていて、かなり悪化してからはじめ て受診される方がいます。
 育児指導というのは、そのお母さんがおばあさんになった30年後に語り継がれるので、とても責任重大なことだと感じます。
99年2月20日
 五体不満足という、先天性四肢切断の著者のベストセラーを読みました。著者が生まれたとき、周りの人たちはなんと一ヶ月もの間、母親に 面会させなかったそうです。最近では、こどもに関する情報は父母が等しく受けるのが望ましいとされ、このようなことはまれでしょう。
99年2月12日
風邪は治すものではなく治るものなんですね。多くの小児科医は自分の子どもが風邪を引いても薬は飲ませないようです。もちろんそれが本当 に風邪ならばですが。
99年1月21日
 インフルエンザが本格的にはやってきました。突然40度近い熱が出るので驚いてしまいます。よく熱が高いと脳炎をおこしてしまわないか と質問されますが、熱が高いから脳炎になるのではないのです。どういう人が脳炎になるかはわかっていませんが、いまのところは確率的なものです。
 
12月5日
 『絵本の中には人生に必要なことがすべて書かれている』 誰の言葉か忘れてしまいました。地方に住んでいると、良い絵本に出合う機会が 少ないです。近所の本屋さんに並んでいるのは子供向け週刊誌とディズニーだけ。
 幼児期から小学校低学年で良書に出会うかどうかはとても大切です。こどもには意外に良書を選別する力があります。近くに児童書店がなければ、インター ネットで探せます。ホームページに紹介した本屋さんは絵本の定期配本もしています。どのような本を送付しているかを見るだけでも参考になります。幼児向け 通信教育が大繁盛しているそうですが、その月会費でよい絵本を買ってあげたい。
11月5日
 よく本を読む低学年の小学生は、本の中に書いてある世界と現実の学校の世界で起こっていることがかけ離れていて理解できず苦しむようで す。今日の小学一年生の患者さんのお母さんの話です。本の中の世界と学校の世界があまりにも異なっている場合、本の世界を否定して現実に迎合するか、学校 を否定するか、そのお母さんは悩んでいます。
9月30日
西欧文化圏で感じたこと
 レストランで食事を待てずさわぐ1歳の子供に、ウェイトレスはパンを小さく切って持ってきてくれました。それを食べて少し満足した子どもは落ち着いてお となしく待てるようになりました。別のレストランでは4歳の子には色鉛筆と画用紙を持ってきてくれました。(欧米のレストランでこの対応は珍しくないので すが、日本のレストランでは一度も経験したことはありません)

 公園では、幼児用の遊具を集めた一角はフェンスで囲まれていて出入り口は大人しか開けられないように高い位置に閂(かんぬき)があります。これで3歳く らいの幼児でも安心して遊ばせておけて、子どもはどこへ行ってもしかられず、親は離れたところで読書ができます。
 しつけというと子どもに教える、叱るということを思い浮かべますが、子供をむやみにしからなくてもよい対応や環境を大人が作ることの大切さを感じまし た。
 
8月1日 
 おたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザなどの任意の予防接種の料金が、病院や地域によって異ることをご存じの方は多くないようで す。病院によって倍近い差があります、接種の前に一度いろいろ電話で確認してみてはいかがでしょう。他の 感染症の患者さんと接触しないように予防接種だけ別の時間帯するなど、子どもに対する配慮があるところが良いと思います。 
5月30日
 最近、異物誤嚥の患児をよく診察します。カギ、釘、パチンコ玉、ねじ、針など、まさかと思うようなものを口にしてしまいます。親が見つ けて大きな声をかけたとたん飲み込んでしまった子も何人かいます。前のページのふないり病院のホームページには異物誤嚥予防のためのチェックリストが載っ ています。時々こどもの安全を確認しましょう。


 

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診察室の四季(外来雑感)

最終更新日 1月1日 2008